伊勢と狐

稲荷信仰と言うと狐が連想されますが、
伊勢にも狐が密接に関わっています。

外宮の祭神・豊受大神の霊獣が狐で、
「専女(とうめ)」と呼ばれたそうです。

『扶桑略記』に伊勢の神宮の近辺で
白専女(白狐)を射殺して流罪となった
記述が残される程に大事に扱われた様で、
外宮の側に豊受茜稲荷もありますね。

キツネの神は命婦神(みょうぶがみ)や
命婦専女神(みょうぶとうめのかみ)と
キツネが女性と関係付けられています。

命婦は五位以下の女官を意味しますが、
キツネで艶かしい女性を想像するからか、
朝廷の女官が隠れて呪詛をしたからか、
詳しくは分かっていないようです。

安倍晴明の母もキツネとされており、
こちらは絶世の美女のイメージですね。

狐憑きと言うと悪いイメージですが、
一口に狐と言ってもピンからキリまで
幅広い概念で狐が用いられていた様で、
男とか女とか日本人とか言っても、
色々といるのと同じ様なものでしょう。

外宮は鬼道に通じる先住民族祭祀で、
花祭にも密接に関わるようですが、
稲荷信仰の古層にも関わるなら、
南朝の深層にも関連しそうです。

南朝と外宮との関係は思いの他深く、
これはこれで掘り下げる意義が
存在しているのは間違いありません。

外宮の隣の豊川茜稲荷は豊川市のそれとは
系統が違うとされるてはいるものの、
そこで終わっては浅い問題があります。

南朝が外宮の伊勢神道を重視した事により
稲荷を尊重する流れがあったとするなら、
この稲荷信仰は壬申の乱以前の秦氏に連なる
鬼道の復興に関わる可能性が高そうです。

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