空海には様々な伝承が残されますが、
やはり史実とは思えない物もあり、
その背景を考えさせられます。
唐で真言密教を学び終えた空海は、
師から授かった三鈷杵を東の空に投げ、
密教を広めるのにふさわしい地に
導くよう願ったとされています。
唐から帰国した空海は、
密教を広める場所を探す旅の最中、
奈良の山中で白と黒の犬を連れた
猟師に場所を尋ねたところ、
二匹の犬に案内させると言います。
高野山の中腹の神社で一晩明かし、
猟師から紹介された山人に
三鈷杵の事を話したところ、
南の方に沢がある平原があり、
貴方の求める地だと案内します。
山人は私はこの土地の主で、
空海にこの領地を差し上げると告げ、
平原にある一本の松の木に
三鈷杵が引っかかっていたので、
貴方は何方なのか訪ねると、
昨日の猟師は狩場明神であり、
自分は丹生(うに)明神と告げ、
姿を消してしまいます。
空海はここに密教の道場を開き、
一番最初に今の壇上伽藍に
狩場明神と丹生明神をお祀る
御社を建てたとします。
白と黒の二匹の犬が空海を導き、
高野山の道場建立に結びついたのは、
何を暗示している伝承なのでしょう。
白と黒で陰陽を表しているのなら、
狛犬が連想されるところですね。
空海と言えば稲荷とも関係が深く、
白と言えばお狐様ですが、
稲荷=白狐は半面でしかなく、
黒狐も存在しているのでしょうか。
伏見稲荷には特殊な狐の像があり、
尻尾に金色の宝がついており、
実際は黒色ではありませんが、
光の関係で黒と金に見えるので、
白い狐の伏見っぽくはありませんね。
ダキニ天はインドでは狐でなく
ジャッカルと繋がっていますが、
アヌビスは黒いジャッカルであり、
生者より死者に関わる神とされます。
エジプトのスフィンクスも
本来は狛犬の様に左右一対で、
白黒であったら面白い所ですが、
情報が少なすぎて裏は取れません。
伏見稲荷とアヌビス神の関係は
かなり希薄な感じはしますが、
死者と関わるダキニがアヌビス神と
ジャッカルにおいて接点があるのは
異論はない所でしょう。
アレクサンダー大王はペルシャから
エジプトを解放してファラオとなり、
太陽神の子となりましたが、
エジプト神がインドに持ち込まれ、
アショーカ王がこれらも保護したなら、
インド化したエジプト神が存在しても
おかしくはありませんね。
この周辺をブログで出すのは早急なので、
学術的突っ込みを入れたい方は、
『東三河の徐福伝承』を読んで下さい。
徐福がインドにいた時により西方の
エジプトアレクサンドリアの文化を
何らかの形で日本に持ち込んでいたら、
その痕跡は残されているのでしょうか。
私はその痕跡が伏見稲荷ではなく、
南朝と関係する豊川稲荷にこそ
見られるものだと考えています。