ユダヤ・キリスト教のサタンは
Satanと表記されていますが、
ローマ神話のサトゥルヌスは
土星を意味するサターン(Saturn)の
語源となった神とされています。
これらのスペルが違う事から
別の存在として扱われていますが、
二者の特性はかなり共通します。
ヤハウェに戦いを挑み地に落とされた
サタンの神話はとてつもなく有名ですが、
サトゥルヌス(ギリシャ神話のクロノス)は
ゼウスと戦い地の底タルタロスに幽閉された
ティターン神族と呼ばれる神々に属します。
ギリシャ神話や古事記の中には、
二系統の岩戸開き神話が存在する事は、
岩戸開きの本に書いておきました。
ゼウス側の岩戸開きは旧約聖書に通じ、
デメテル側の岩戸開きとは別物ですが、
サトゥルヌスとデメテルは農耕に関わり、
謀略や略奪とは系統を異にします。
旧約聖書のモチーフは兄弟対立で、
農耕の兄カインを狩猟の弟アベルが殺し、
ヤコブの長子権をエサウが奪っています。
サタンが悪魔とされるのは聖書圏で、
ギリシャ神話をベースにした占星術も、
キリスト教圏でカスタマイズされると、
土星が凶星とされる様になります。
土星は山羊座の守護星とされますが、
西洋で山羊は黒魔術と関連付けられ、
信仰の背景が伺われますね。
ティターン神族の統治の時代は
黄金時代と伝承されているので、
神々のヒエラルキー戦により、
武力と謀略により統治神が代わり、
酷い時代になった事になります。
日本神話でスサノオが地に落とされ、
艮の金神が最悪の祟り神とされた事に、
聖書の影響がちらついていますね。
世界史の流れはこの二系統の
勢力の抗争に深く関わり、
日本を含めたアジアにおいても
大規模な戦争があった事は、
行基の本に書いておきました。
近代文明は謀略と武力に支配され、
地球そのものを崩壊させる所まで
行き着いてしまっていますが、
人類が黄金時代を取り戻すには、
ティターン神族の農耕文明を
取り戻す必要があるのでしょうか。