農業と四診

東洋医学の患者の診察には、
望診・聞診・問診・切診の
四診が存在しています。

望診は気、色艶、形態を観察し、
聞診は声、呼吸音、臭いを感じ、
問診は患者から色々と情報を聞き出し、
切診は脈などを調べるようです。

西洋医学では音を聞いても、
臭いを聞く概念はありませんが、
堆肥作りも微生物の臭いが関わり、
土の臭いから得られる情報は
結構多いのかも知れません。

東洋医学と西洋医学では、
そもそもの身体観からして
違った認識をしてはいますね。

農業と医療の関係を考察すると、
望診や聞診などは行われますが、
問診は土や草の声が聞けないので、
農業では除外されていますね。

古代祭祀では神の役を演じる人が
仮面を被って祭祀に登場しますが、
託宣も行われていたようなので、
ある意味問診になっていそうです。

まあ人間相手でも耳が遠かったり、
聞きたくない事をスルーする人には、
言っても通じない事はありますが、
土や草が必死に訴えていても、
無視している事はありそうです。

土の中には膨大な微生物がいて、
生態系のバランスが維持される中に
都合で他の植物を植えるのなら、
色々な症状が出て来かねませんが、
アプローチもピンキリでしょう。

微生物等にも考慮をしていくなら、
地霊との対話も突拍子もない発想と
切り捨てられない要素が存在し、
生きている大地の声に耳を傾ける
問診も試みる価値はありそうです。

西洋医学的発想が農業にも導入され、
症状が出たら原因を度外視しつつ、
取り除こうとして悪化させる様な
危険な事を無意識にしかねない
流れが作られて来た感があります。

漢方に保険が適応されないので
養生を無視して健康に悪い事をし、
症状が出ても薬で何とかなると
甘く考えるのが現代の主流ですが、
食や農業にも通じる話ですね。

食は大薬と言われていますが、
農耕でも薬の投下ではなく、
土の健康度を上げていく事が、
根幹的に重要なのでしょう。

土地や野菜にヤブ医者のような
酷い事をしている可能性は
普通にありそうですが、
健康度を上げたいだけなら、
関係性の向上も大事です。

東洋と西洋で分けるのは微妙ですが、
ヘレニズムの文献が焚書される前は
これらも世界的に研究がなされ、
農業に応用されていた可能性は
ゼロではないとは思われます。

命を扱うのではなく工業製品を
効率的に生産するような意図で
食物が扱われて来ましたが、
自家栽培で牧歌的に過ごすなら、
東洋医学にも応用の出来る知恵が
数多く眠っていそうです。

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