土師氏の大連・小連が紫衣、刀劔をもって
凶儀を掌ったと伝承されているように、
土師氏は凶儀担当者とされたそうです。
花巻では祭に来た神々が帰った後も
居座る霊を剣で追い払っていますが、
花太夫が祭全般を取り仕切っており、
特別に危険な霊のみに対応する
職務ではなかった可能性があります。
土師氏が外交儀礼に関わった事例もあり、
神仏の霊に関わった土師氏が死霊のみに
限定されていたイメージを持たせたのは、
出雲の祭祀の在り方を隠蔽する目的が
存在していた可能性はありそうです。
土師氏は古墳や池を作っていますが、
風水全般に精通していたのであれば、
地霊と対話をして開発を進める
霊能者であったのでしょうか。
道真公の家系は天台密教との関係が
非常に深かった事を考慮すると、
密教の修行により霊と対話する
スキルの要求される職務全般に
関与していた可能性もあります。
邪霊や死霊のみに関わった
低俗な氏族のイメージは、
天地の神々とも向かい合う
優れた存在としての在り方を
隠蔽であったのでしょうか。
先住民族は刑部や忌部など、
宜しくない漢字が用いられる
ケースが見受けられますが、
先住民族祭祀を格下とみる
支配者側の意図を感じます。
この末裔が道真公であったのなら、
彼の活動に出雲の神仏祭祀の復興が
存在していたとしても不思議はなく、
朝廷や公家のそれとは相容れない
抹殺対象とされたのでしょうか。