プラトンの著作で政治に関わるものは
『国家』や『法律』が有名ですが、
マイナーでも重要なものに『政治家』があります。
エレアからの客人が若きソクラテスと対話し、
法律の長所・短所や現実的な次善の国制、
民主主義を初めとした様々な制度の比較、
イデア論に対する特殊な解釈などを語る
プラトンを語るには外せない一冊となっています。
客人はギリシャ神話についての解説もしていて、
ゼウスがアトレウスに味方し天体の回転を反転させた、
クロノスが統治した黄金時代があったと言うような神話は
過去の同じ事柄が様々な形で表現されたもので、
時間が経つにれ断片化し一部が伝えられたと語ります。
古事記などの神話をユング心理学のように
深層心理で解釈する傾向がありますが、
ここで見られるように過去の出来事が
神話的に伝わった見方もあるのかも知れません。
客人は政治家の技術を理解するために
機織り(はたおり)術を取り上げ、
政治家との関係性を挙げていきます。
古事記には機織りの神が登場し、
太陽神との関係が記されています。
古事記とギリシャ神話は非常に類似していますが、
機織りとは神々による統治のメタファーであり、
ギリシャとの関係をにおわせる徐福王朝には
この政治哲学があったのでしょうか。
プラトンを読む人は『国家』か『法律』まで読み
イデア論などを議論する事も多そうですが、
『政治家』を読むとまた違った見解が得られます。
そしてこれを読む事により古代日本の在り方が
より明確になる可能性は十分あるのではないでしょうか。