『続日本紀』(天平勝宝二年十二月条)に、
大仏鋳造の功で外従五位下柿本小玉と
高巿真麿が外従五位上を受かったと
記述が残されているのですが、
『朝野群載』は外従五位下を受けた
柿本男(小)玉が大仏造立の時に
鍛冶工達の長だったとしています。
高崎正秀氏は柿本人麻呂・高市黒人の
出自氏族についての考察をして、
鍛冶部・鋳物師の徒は、
実は太古より近世に入るまで、
日本の歌物語と、
甚大なる交渉を持った
職業団体であった。
と記されているように、
歌と鋳物の一見関係ない
両者に繋がりがあった事が
明示されていますね。
柿本人麻呂が歌聖であった事は
既に知られている所ですが、
鍛治とも関わりがあった事は、
余り知られてはいない所です。
柿本氏が鍛治屋シャーマンだと
伝えられてはいるのですが、
鍛治と言えば錬金術的な側面や、
銅鐸や銅剣等の呪術的アイテムの
制作にも関わって来ます。
しかしこれより問題なのが、
一つ目の神との関係ですね。
ギリシャ神話にも一つ目の神が
登場してくる事は有名ですが、
優れた功績を残した存在とされ、
日本で天孫降臨神話と絡められた
背景が気になる所ではあります。
ギリシャ神話の日本への流入は
徐福関係で散々書いたので、
今さら書くのも面倒ですが、
ヘレニズムの叡知を保持した
氏族であったとするのであれば、
アレクサンドリア大図書館の
叡知にも繋がってきます。