今日は中秋の名月なので、
月神に纏わる話をします。
伊勢には月読命を祀る神社が
一社だけではないのですが、
男性的な雰囲気だと言ったり
女性的だと言う人もいるようで、
月読命の性別が良く分かりません。
月読から連想するのは太陰暦で
農業とも密接に関わりますが、
太陰暦は月のみを見る訳でなく、
太陽・地球・月の三者の角度で
形成されるサイクルを見ます。
月は夜なので死後の世界と
密接に関わる事になりますが、
月を愛でる文化のあるこの国は、
死に対しての概念が欧米と違い、
月の繊細な変化にも敏感です。
古事記と密接に関係する
ギリシャ神話においては、
黄泉の国の神・ハーデスは
ペルセポネーと夫婦です。
そしてこのペルセポネーは、
天照大神に対応するデメテルの
娘ともされている神であり、
黄泉の国から娘を連れ帰ると、
不毛なエレウシスの平原が
黄金の穀物畑となります。
農業は黄泉の国である地下に
種を蒔いて芽を生やす事で
地上に伸びて実を付けるので、
両者に関わる行為となります。
まさしく岩戸開き神話ですが、
これが霜月神楽と関係する事は、
本に詳しく書いておきました。
花祭の原型にデメテルが関わり、
現代に残された人類の宝として
花祭の全国的復興が重要であると
主張している根拠ではありますが、
神道の根幹の問題でもあります。
伊勢の月読命を祀る神社は、
夫婦神の二柱に分かれており、
それぞれ働きが違うなら、
祭祀にも差が出そうですね。
農業は動植物の死体や排泄物など、
死を地中で微生物が分解する事で
新たな植物が生まれる循環に関わり、
まさに太陽と月のダイナミズムです。
死後の採点に関わるハーデスは、
これとは違う厳格さがあるので、
参拝して神前に立つ時には、
死後に後悔しない生き様なのかを
問われる要素がありそうですね。
神の徳性を無視して参拝しても
ピント外れな行為になりかねず、
参拝しさえすれば採点が甘くなる
都合の良い信仰も無いでしょう。
伊勢方面に参拝に行く時に
月読神社に寄る事があれば、
これらも少し意識してみると、
感じる物があるかも知れません。
日本神話での月読命の扱いは
余りにも雑過ぎて酷いので、
古事記に細部まで類似した
ギリシャ神話を学んでから
参拝すると礼に叶いそうです。