西宮ふるさと民話を見ると、
神呪寺の創建について、
詳しく書かれています。
寺を建てる場所を探していた
淳和天皇の第四妃は、
都の西の方の山に
あまりにも美しく光る
雲がかかっているのを見て
甲山までたどりついた。
野にはいろんな花が咲き乱れ、
地中からは蒸気が
立ちのぼって五色に輝き、
空には大きな美しい蛾が
この山を守るかのように
黒い息をはきながら
空高く舞っていた。
妃は不思議に思い頂上に登って
しばらく茫然としていた。
すると、紫雲がたなびき
峰いっぱいになり、
その中から突然、
美しい女神が現れて
ここは『魔尼の峰』と言って、
その昔宝をうめた所です。
仏様を祀るにはとても良い所です。
と告げて姿を消した。
妃は大変喜んで尼となり、
神呪寺を開基した。
ここに登場する魔尼の峰が
マニ教と関係するのなら、
悪名高きソグド人が信仰した
三つの一神教と関係している
可能性が浮上して来ますね。
妃の名前は出て来ませんが、
聖徳太子の六角堂伝承と
関係する如意尼であれば、
太子の信仰した大乗仏教も、
一神教の影響を受けています。
六甲山は壬申の乱から後、
重要な拠点として呪術的に
封印されたのでしょうか。
聖徳太子伝承となると
壬申の乱が近いですが、
倭国大乱の周辺に関わる
伝承も残されています。