二柱の天照大神

ギリシャ神話では女神デメテルが
天照大神に対応すると言われています。

しかし、古事記とギリシャ神話を対比させると
別の天照大神と対応する神を見いだす事ができます。

カオス(空隙・混沌)から生まれた原初の宇宙で
最初の天界の王位の座についた天空神ウラノスは、
大地母神ガイアとの間に生まれた息子クロノスを盟主とする
ティターン十二神と呼ばれる巨神族たちに王位を奪われ、
タルタロス(地の底の牢獄)へ幽閉されます。

太古の神々の盟主クロノスは天界の王の座につき、
女神レアとの間にゼウスやポセイドンを始めとした
オリュンポスの神々を生んでいきます。

タルタロスへ堕とされるウラノスは
自分と同じように息子に王位を奪われると予言し、
これを恐れたウラノスは自分の子供を
生まれた先から飲み込んでいきます。

女神レアは最後に身ごもっていたゼウスだけでも守ろうと、
洞窟の中に隠れて末息子のゼウスを生み、
クレタ島に住んでいたアドラステアとイーデーという
二人姉妹のニンフ(精霊や妖精)たちにゼウスを預け、
クロノスに産着にくるんだ石を赤子と偽り飲み込ませ、
ゼウスは一命をとりとめます。

ゼウスは非道なクロノスから兄弟姉妹たちを救うため、
知恵高き女神メティスと協力して一計を案じ、
ネクタルの蜜酒に眠り薬を混ぜクロノスに飲ませ、
背中を叩いて神々を吐き出させる事に成功します。

この後にゼウスは戦により神々の長となりますが、
これがどう古事記と対応するのでしょう。

古事記では岩戸に隠れた天照大神を引き出すために
思兼神が知恵を絞りアメノウズメが女陰を顕に踊り
大神を騙して手力男が引き出します。

これをギリシャ神話に対応させると、
レア(女陰で出産・母親)が騙して(思兼神)
洞窟(岩戸)でゼウスを生んでおり、
メティスの知恵(思兼神)で神々を吐き出させ、
戦い(手力男)で神々の長の座を得たゼウスは
古事記の天照大神と対応する可能性はありそうです。

ウズメや思兼神などが重複しており、
酒を飲ますのはヤマタノオロチに似ていますが、
これが前に書いた神話の多重構造に関係し、
複雑だとした部分になります。

ギリシャ神話では一つ目の巨人が出たり
ゼウスが雷を用いたりしていますが、
古事記にも一つ目の神が登場し、
国譲り神話では建雷神が活躍します。

デメテルは世界に実りを取り戻し、
ゼウスとは大きく趣を異にしています。

謀略と武力で王座を奪った天照大神と
世界の実りをもたらす天照大神の
二柱の神が存在しているのでしょうか。

ギリシャと日本との関係これよりも遥かに深く、
調べ上げるのに骨が折れています。

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