古代インドの聖典である『リグ・ヴェーダ』には、
何種類もの植物や薬草の歌があり、
古人の草との関わりを窺い知る事が出来ます。
これは日本の言霊信仰のようなものか、
呪文のような効果があるとされているので、
野草を採取したり薬草を使う時などに歌う事で
効果がでると考えられていたようです。
植物の歌
甘美な食物よ、甘き食物よ、
われらは常に汝を選べり。われらの支援者たれ。
われらに近づき来たれ、食物よ、
吉祥なるものとして吉祥なる支援を伴い、
喜ばしく、厭わしからず、
いと懇(ねんご)ろにして、二心なき友として。
汝のこの名高き滋液は、食物よ、
もろもろの空間に拡がり、風のごとく天界に達する。
汝のこの名高き〔滋液〕は、食物よ、〔われらに甘味を〕与う、
汝らのこの〔滋液〕は最も甘美なる食物よ。
滋液の甘味は前進す、強き頭もつ〔牡牛〕のごとくに。
汝の上に、食物よ、偉大なる神々の意は置かれたり。
快きことはなされたり、標識のもとに。
彼は汝の支援によりてアヒ(ヴリトラ)を殺したり。
もし汝がかしこに、食物よ、
山々の夜明けのために行きたりしならば、
ここに汝をわれらのため、甘き食物よ、
飲用に準備せられて来たらんことを。
もしわれら水・植物の配分を喫するならば、
風を友となすもの(ソ—マ)よ、汝は実に栄養となれ。
もしわれら、ソーマよ、牛乳を混ぜ、
大麦を混ぜたる汝を享受するならば、
風を友となすものよ、汝は実に栄養となれ。
カランバ(ひきわりの粥)となれ、
植物よ、栄養に、湯気たつ腎臓に。
風を友となすものよ、汝は実に栄養となれ。
かかる汝をわれらは、食物よ、言葉もて美味となせり、
雌牛(牛乳)供物を〔美味になす〕ごとく。
神々のため汝を共食者と〔なす〕、
われらのため汝を共食者と〔なす〕。
薬草の歌
太古に、神々より三代以前に、生じたる薬草、
われ今褐色のものの百あまり七種類を思念せんと欲す。
汝らの種類は百、母(薬草)よ。
また汝らの生物(はえもの)は千。
しかして汝ら、百の賢慮をもつものたちよ、
我がためにこの者を健康ならしめよ。
薬草よ、花を咲かせ、実を結びて、喜悦せよ。
常に勝利を博する牝馬のごとく、
植物は目的に到達せしめんとす。
古代日本にもこのような言霊が存在し、
現代とは違った植物との関係が
存在していたのでしょうか。
近代では科学の名のもとに排除され、
自然との関わりも上からの搾取になりました。
日本にも万葉集などがありますが、
万葉集についてはKindle本辺りで
そこそこ短いのを書いてみたい気もします。
暫くはスペック的に厳しいですが。
世界各国の様々な古代の文献を紐解けば、
古代人の自然への感性を見る事ができます。
高遠な学問ではなく生活に密着した内容なので、
研究すると日常が豊かになる感じがしますね。
コメント
素朴で暖かな歌をありがとうございます。ブランケットをかけてもらったみたいです。スパイス入りミルクティーを思い出しましたがスタバには無さそう。疲れた時にまた読んでみたいと思います。薬のような効果があるかもしれません。窓辺に二匹の雨蛙が夜露をしのいでいるのを見ると、「キツイ宗教じゃなくて良かった‥」と思ってしまいます。
有名どころでは九つの薬草の呪文というものもあるので、宜しければ調べてみて下さい。