救荒

現存する日本最古の医学書とされる『医心方』全30巻は、
針博士・丹波康頼により永観二年(984)に撰進されます。

『医心法』の本草を独立させた『康頼本草』には
味・寒暖・毒の有無・採取の季節・加工法などが記されています。

温・平・寒・微寒・温のように食べると体温がどうなるか、
無毒・有毒・大毒・少毒のように毒の度合いがあるのは
現代では余り見られないところでしょう。

春夏秋冬の変化に対応できないと体調を崩しますが、
基本的には旬のものを食べると体温調整が出来ます。

江戸時代の漢方の名医は葛根湯を多用したそうですが、
葛根湯は基礎体温を上げて病気にかかりにくくします。

漢方には上薬・中薬・下薬などの分類があり、
猛毒のトリカブトも心臓病の治療に使われるように
薬=毒としてどう活用すれば良いかも研究されています。

本草学は医療に用いられる実用的な学問であり、
医食同源の思想をベースに雑草の活用法が
江戸時代まで研究されてきました。

中国の明(みん)代の本草書に『救荒本草』があり、
飢饉の時に何の草が食べられるかを解説しています。
「荒」は飢饉の意味とされていますが、
日本でも飢饉の経験から独自の救荒本草が研究されます。

救荒本草啓蒙』『救荒野譜啓蒙』などは
身近な植物について記しています。

一関藩(岩手県)の藩医・建部清庵(せいあん)は、
飢える民衆を救うため『民間備荒録』『備荒草木図』を編纂。
民間備荒録』は飢餓で毒草を食べ中毒にかかる人が多いので
85種類もの草木の性、味、毒の有無、料理法、解毒法を記し、
備荒草木図』は文字の読めない庶民のための図も入れています。

飢饉の備えや草木の調理法、中毒時の解毒法など、
現代では軽く見られる基礎的な必須の知識が
江戸時代までは学問研究の対象となり、
本草は医療上、重要な位置を占めてきました。

飢饉は餓死だけでなく疫病も引き起こし、
疫病の処方を記したお触書が
村の組頭や名主に配布されたそうです。

本の執筆作業は脳疲労がヤバいので
本草を本丸に置こうとは考えていませんが、
本草学に新しい流れを出せるように
ブログで頑張っています。

日本には日本の風土にあった本草書があり、
明治以降にこれらの学問は廃れましたが、
著作権の問題がないのがメリットですね。
上記の書は絵が入っているものもあり、
流し読みだけでもする価値があると思います。

学生などで余力があれば自身の勉強も兼ねて
現代文に訳してKindle等で販売すれば、
時代的な価値はかなり高いと思います。
その時にはコメントして頂ければ、
ブログで宣伝しますよ。

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コメント

  1. みずっちゃん より:

    「救荒」「救荒作物」という言葉があるのですね。いい言葉ですね。暖かな先人の知恵を感じます。学生だった頃、通っていた大学の道を挟んだ向こう側に薬学部の薬草園があり初夏には白い芍薬の花が咲いていました。葛根湯を少し多めに買っておこうと思います。

    • Katsuyoshi より:

      こう言う学問こそ学校で教えて欲しいですね。
      江戸時代は私塾が多かったので、ここでも寺子屋をやっています。