堕天使伝承

日本神話ではスサノオが天照大神と競い
世界を暗黒化させた罪で地に落とされますが、
いくつかの旧約外典・偽典を始めとした
ユダヤ文献にも堕天使伝承が残されます。

旧約聖書偽典の『エノク書』には、
グレゴリ(エグレーゴロイ)と呼ばれる
「見張る者」の意味を持つ堕天使の一団が存在します。

神より世界の監視を命ぜられたエグレーゴロイは、
人の女の美しさに欲情して妻に娶ろうとし、
シェムハザを筆頭とする200名の天使達は、
裏切らぬよう互いに呪いをかけあい、
ヘルモン山の頂きに降ります。

仲間の天使たちが人間の娘と結婚しようとした時、
シェムハザのみ反対するも多数決となり制止できず、
シェムハザも娘と結婚したともされています。

堕天使が人の娘に生ませたネフェリムは、
背丈が3000キュービット(1350m)とされ、
人間が巨人を養いきれなくなると、
作物はおろか、動物や人間を喰いつくし、
ついには巨人同士が食いあいをしたそうです。

アザゼルは剣、小刀、楯、胸当ての作り方を人間に教え、
金属とその製品、腕輪、飾り、各種の石、あらゆる染料を見せると
男は武器で争い、女は男に媚びを売って姦淫を行い、
人類の堕落の原因はアザゼルに帰せられました。

シェミハザは魔術を暴露し、
アルマロスは魔法を無効にする術、
バラクエルは占星家、コカビエルは天体の兆、
タミエルは星の観察の仕方、サハリエルは月の運行を教え、
ありとあらゆる暴虐が地上に行われたと伝えます。

ここに見えるアザゼルの姿は、
アダムとイヴに知恵の実を食べさせ
神と戦い地に落とされたとされる
ルシファーに似ています。

ギリシャ神話ではゼウスを欺き
人類に天上の火を与えたプロメテウスは
ゼウスが戦ったティターン神族の一柱です。

天から降りてくる神話は日本にもあり、
ニギハヤヒノミコトが天孫降臨していますが、
王として民に恩恵を与える存在とされています。

バベルの塔はシェムを上げると記され、
これが名を上げると訳されていますが、
シェムには名声や傲慢さではなく
空を飛ぶものの意味があり、
シェムハザのシェムもこれなのでしょうか。

堕天使は神と戦い地に落とされたのではなく、
妻を娶る目的で降りてきたと記されますが、
スサノオも天から降りクシイナダ姫を救うため
ヤマタノオロチと戦い姫を娶っていますが、
天照大神と戦った罪を着せられました。

アザゼルはヤズィディー教の七大天使の筆頭で
孔雀王(マラク・ターウース)と呼ばれ、
インドで仏教を保護したアショーカ王の王朝は
マウリア(孔雀)王朝と呼ばれています。

アショーカ王の仏教は純粋な釈迦の教えではなく、
古代世界の深層にまで関わる可能性があるのですが、
本にまとめるのにかなり骨を折っているところです。

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