女性と農耕

日本には農業が男性の重労働のイメージがあり、
儒教の籍田の礼にみられるように、
王が神田に鍬を入れ王妃は祭祀の服を作るのが
古代アジアの儀礼で重視されていました。

他の地域では農耕と女性に密接な関係を
認めているケースが見受けられますが、
女性と農地とを関係付ける考えの延長で、
不妊の女性が農業に危険な影響を及ぼす考えが、
ウガンダ、バントゥ族、インド諸国などに存在します。

ニコパル島では妊婦により撒かれた種子は
優れた収穫をもたらすと考えられていて、
イタリア南部では妊婦により撒かれたものは
胎児のように成長するとしています。

ボルネオでは女性が稲作の儀礼や耕作の主役で、
男子は雑務でしか呼ばれないようです。

女性が農耕に影響を与えるだけでなく、
榖物の成長途中に稲田に入って寝る事で
水稲と女性双方の多産性が増すとされます。

南アメリカのジバロス人には、
女性が農作物の成長に対して
神秘的な影響力を働かせる信仰があり、
古代では女性の生命に対する神秘力は
幅広く認知されていたようです。

農耕が女性の性的魅力に関わるとすれば、
時代はダイエットより農業ですね。

農耕に対する豊かなイメージは消滅し、
工業製品を造るような取り扱いがなされますが、
生命の根幹に関わる行為としての豊穣さは、
もう一度取り戻す価値はありそうです。

男性中心の社会から女性の時代へ移行すると
一部の人達は提唱しているようですが、
女性の男性化では主導権争いでしかないので、
女性が本来持つ優れた徳性を取り戻す事で、
自然と調和した文明に移行できると良いのでしょう。

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