熊野古道に祀られる切目王子は、
九十九王子の中でも特別視される
五体王子の中に入っています。
切部王子、分陪支(ブベシ)王子、
御所王子とも呼ばれており、
本地は十一面観音とされています。
「きな粉の化粧伝説」に登場しており、
僧を殺して山に帰った切部の王子は、
捕まり右足を切られて切部の山に放逐され、
熊野から下向する者達の福幸を奪い始めます。
これを見た権現は稲成大明神と相談し、
仲のよかった「あこまち」を王子に遣わし、
王子が最も嫌うまめのこ(きな粉)で化粧すれば
福幸を奪わないよう約束させたとされています。
伝承では完全に悪者でしかありませんが、
何故かこれで五体王子に入っており、
ソランジンも悪鬼にされているので、
両者は通じていそうな感じがしますね。
奥三河の花祭には謎の神が祀られており、
みるめ・きるめ神は不詳とされています。
既に花祭の本には書いておいた話ですが、
当時は南朝との関係までは踏み込まずに
地域振興ベースの情報に止めており、
南朝をかませる事でメリットが出るかは、
まだ微妙な部分があるにはあります。
花は地域によって考えが違うので、
本を書く時にどこに話をしたら良いかで、
歴史や全体の事を扱うので花祭の神々に
参拝に行く事から始めましたが、
許認可がもらえた保証自体はないので、
疑問があれば花祭の神にご相談を。
きるめが十一面観音と関係するなら、
南朝でも重視されていた可能性があり、
稲成大明神が稲荷の事を意味するなら、
やはり南朝との関係は深そうです。
花祭は熊野修験との関係が深く、
ここにも後醍醐天皇が関わっており、
南朝が花祭を復興を目論んだ線で
研究するのも面白そうですね。