朱子学について調べていたら
『朱子四書集注索引』が面白く、
テーマ別に様々な文献から
引用がなされていました。
これは東洋のシントピコンと
呼んでも良さそうな感じですが、
シントピコンは西洋で有名ですね。
ブリタニカが出版した全集である
The Great Books of the Western World の
第一巻と第二巻にシントピコン索引があり、
102の偉大な思想が様々な名著のどこにあるか、
比較検討出来る様に構成されています。
プラトンとアリストテレスにおける
イデアの解釈の違いを探る時に、
全文献に目を通していては大変で、
どの本の何ページに何が書いてあるか
詳しい人に聞けたら効率的ですね。
以前『本を読む本』の記事を書きましたが、
翻訳に若干の違和感がある程度でなく、
省かれている章があるのが痛いのですが、
原文に当たるとシントピコンも理解できます。
この索引は天使から始まり世界に終わりますが、
以下のテーマで様々な名書を読んだ上での
有益な議論が出来る価値を想像してみて下さい。
1.天使
2.動物
3.貴族制
4.芸術
5.天文学と宇宙論
6.美
7.存在
8.原因
9.運
10.変化
11.市民
12.憲法
13.勇気
14.慣習
15.定義
16.民主制
17.願望
18.弁証法
19.義務
20.教育
21.要素
22.感情
23.永遠
24.進化
25.経験
26.家族
27.運命
28.形
29.神
30.善と悪
31.政府
32.習慣
33.幸福
34.歴史
35.名誉
36.仮説
37.アイデア
38.不死
39.帰納
40.無限
41.判断
42.正義
43.知識
44.労働
45.言語
46.法
47.自由
48.生と死
49.論理
50.愛
51.人
52.数学
53.物質
54.力学
55.医学
56.記憶と想像
57.形而上学
58.精神
59.君主制
60.自然
61.必然性と偶然性
62.寡頭制
63.一と多
64.意見
65.対立
66.哲学
67.物理学
68.快と苦
69.詩
70.原理
71.進歩
72.予言
73.慎重さ
74.罰
75.質
76.量
77.推論
78.関係
79.宗教
80.革命
81.レトリック
82.同と異
83.科学
84.感覚
85.記号と象徴
86.罪
87.奴隷
88.魂
89.空間
90.国家
91.節制
92.神学
93.時間
94.真実
95.暴政と専制
96.普遍と特殊
97.美徳と悪徳
98.戦争と平和
99.富
100.意志
101.知恵
102.世界
人によって詳しく語れるテーマや、
考えた事すらないテーマが違うので、
人生の様々な側面で歴史上の一流人達と
対話して見識を深める事が出来るなら、
人生の質にも大きく影響しますね。
『本を読む本』の244ページには、
シントピカル読書のやり方が記され、
これだけで分かった気になるのも
問題があるとは思うので、
気になったら本で調べて下さい。
準備
1.図書館の目録、他人の助言、
書物についている文献一覧表などを利用して、
主題に関する文献表を作成する。
2.文献表の書物を全部点検して、
どれが主題に密接な関連をもつかを調べ、
また主題の観念を明確につかむ。
実践
1・準備作業で関連書とした書物を点検し、
もっとも関連の深い箇所を発見する。
2・主題について、特定の著者に偏らない
用語の使いかたを決め、
著者に折り合いをつけさせる。
3・一連の質問をして、
どの著者にも偏らない命題をたてる。
この質問には、大部分の著者から答えを
期待できるようなものでなければならない。
しかし、実際には、著者が、
その質問に表立って答えていないこともある。
4・様々な質問に対する著者の答えを整理して、
論点を明確にする。
あい対立する著者の論点は、必ずしも、
はっきりした形で見つかるとは限らない。
著者の他の見解から答えを推測することもある。
5・主題を、できるだけ多角的に理解できるように、
質問と論点を整理し、論考を分析する。
一般的な論点を扱ってから、特殊な論点に移る。
各論点がどのように関連しているかを、明確に示すこと。
この読書法はネットであれ仕事であれ、
様々な意見をどう解釈るかの基礎として、
学生時代にマスターさせる価値のある
読書法ではないかと思われます。
ビジネスでも会議の質が重要ですが、
シントピカル読書をマスターした人は、
会議の質が高いのは容易に想像できます。
シントピコンの無いテーマでは、
自分でどの本のどこに重要な情報が
埋もれているかを探る必要があり、
歴史研究ではこれが大変です。
郷土史料の本棚に置いていない本は、
検索で調べる必要がありますが、
重要な文献が書庫に眠っていても、
中々ヒットしない事があります。
ブリタニカでは東洋文献は含まれず、
古今東西のシントピコンを作ったら
非常に価値が高いとは思われますが、
労力が半端ないのが大問題なので、
アレクサンドリア大図書館での
事業クラスになりそうですね。