稲荷心経

伏見稲はダキニ天と関係がないと
一般的には考えられていますが、
伏見稲荷大社の神宮寺であった
真言宗東寺の末寺である愛染寺の
初代住持である天阿上人の著作に、
『稲荷心経』が登場しています。

愛染寺で編纂された経典とされ、
この経文の最後に唱える部分が
ダキニ天の真言とされています。

ダキニ天は御利益は凄いものの、
一度信仰すると一生信仰しなければ
痛い目にあわされる等の逸話があり、
美女を口説いて浮気して刺される様な
軽い気持ちでは危険とされていますね。

頼み事が叶っても礼儀もない人に
多少厳しめに言っておいた方が良いと
怖い伝承を流したなら良いのですが、
いずれにせよ安易で失礼な行為は
実社会での有力者に対してもNGです。

『稲荷心経』は以下の通りとなっています。

本体真如住空理(ほんたいしんにょじゅうくうり)
寂静安楽無為者(じゃくじょうあんらくむいしゃ)
鏡智慈悲利生故(きょうちじひりしょうこ)
運動去来名荒神(うんどうこうらいみょうこうじん)
今此三界皆是我(こんしさんがいかいぜが)
有其中衆生悉是(うごちゅうしゅうじょうしつぜ)
吾子是法住法位(ごしぜほうじゅうほうい)
世間相常住貪瞋癡之(せけんそうじょうじゅうとんじんちし)
三毒煩悩皆得解脱(さんどくぼんのうかいとくげだつ)
即得解脱(そくとくげだつ)

掲諦掲諦(ぎゃてぃぎゃてぃ)
波羅掲諦(はらぎゃてぃ)
波羅僧掲帝(はらそうぎゃてぃ)
菩提薩婆訶(ぼうぢそわか)

多呪即説呪曰(たしゅそくせつしゅわつ)

オン キリカク ソワカ
オン キリカク ソワカ
オン キリカク ソワカ

稲荷心経は源頼朝が日夜持誦して
世を取った霊験ある御経とされ、
ダキニ天が平清盛のみでなく、
源頼朝などの権力者に崇拝された
特殊な神格であった事が分かります。 

ただ頼朝の時代から存在したなら、
江戸時代の人とされる天阿上人の伝承と
矛盾が生じる事になるのを考えると、
伏見稲荷では天阿上人よりも前から
ダキニ天を祀っていた可能性もあります。

伏見稲荷は後醍醐天皇と足利尊氏が
信仰した事が知られているので、
信仰の系統の違う勢力による
隠蔽があってもおかしくないですね。

『稲荷心経』には愛染や荒神などの
南朝を解明の重要なキーワードが
関わっている事が分かるでしょう。

最後の「ギャティギャティ」の部分は
『般若心経』でも唱えられていますが、
サンスクリット語を翻訳した経典で
他の部分は真言の効力の説明文なので、
この部分だけ繰り返しても良さそうです。 

般若心経も色々な解釈がなされており、
少しかじって色々と言い始めるのは、
危ない部分もありそうな気はします。

盤若心経については以前書きましたが、
大乗仏教の空の思想については、
説一切有部について学んでみると、
新たな観点が得られると思いますよ。

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