ホモサピエンス全書

私も歴史関係の本を書く
端くれの身ではありますが、
近年このジャンルでの
世界的ベストセラーに、
『ホモサピエンス全史』が
挙げられていますね。

第一部「認知革命」から
第二部「農業革命」を経て
「人類の統一」「科学革命」
と現代までの流れが記され、
これ一冊で人類の歴史を
分かった気になれそうです。

しかし様々な研究をして
何冊も書いてきた身から
言わせて頂くとすれば、
これは西洋主導の歴史で、
随分と偏っている感が
拭い切れない物です。

西洋と言うより一神教を
信奉する勢力の構築した
歴史観の方がより厳密で、
金と暴力で世界を支配する
旧約聖書の兄弟対立の
延長線上にある見方です。

陰謀と暴力による支配の
正当化のための歴史なら、
科学や歴史は邪教による
創生神話と大差無い事に
なってしまいますね。

科学革命にはイギリスの
産業革命以降の流れが
深く関わっていますが、
アレクサンドリアでは
大図書館での知的活動が
高度な水準にありました。

人類の統一と言えば
アレクサンダー大王の
ヘレニズム文化があり、
西洋主導と違い他民族を
奴隷とはしていません。

各地のアレクサンドリアで
大図書館の本が焚書され、
大いなる文明の断絶が
なされてしまいましたが、
この蔵書が残されていれば、
世界史は全く別物になります。

現代日本で政治を語る人は、
明治維新以降の歴史には
重点を置く人が多いですが、
この段階で既に西洋化が
大分進行している状態です。

これだと西洋的な歴史観の
上での判断になってしまい、
掌の上で転がされるような
危険性が伴っています。

歴史書には『大鏡』など、
現在を鑑みるための鏡の
価値があるとされますが、
歪んだ鏡で見ていれば、
状況の把握を間違えます。

自然や他民族を支配し
搾取する文明の末路は、
現代文明を見れば、
一目瞭然でしょう。

この流れの延長線上には
暗澹たる未来しか無いなら、
新たな流れが必要となります。

私にも一連の著作活動も
この意義があっての事で、
私の著作が広知される事で
次に繋がる流れが出れば、
西洋主導で失われた物を
取り戻せるのでしょうか。

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コメント

  1. 井口幸久 より:

    その通りだと思います。現世人類は東アフリカで発生して世界中に広がったとハラリさんは言われますが、どうでしょうか。ネアンデルタールは4万年前に滅んだと。本当に滅んだのかしら。ある物がある時代の、ある場所に存在したことは、遺跡が一つあれば証明できますが、存在しなかったという証明は非常に困難です。わたくしは、現代の東洋人は、ネアンデルタール人の末裔ではないかと、ぼんやりと考えています。サピンス全史は完璧に西洋人が考えた歴史だと思います。

    • Katsuyoshi より:

      歴史の証拠を支配者側が隠蔽するのは良くある話で、証拠が無いから100%無いと言い切る事は難しいですね。
      アジアが劣ったような歴史観が蔓延っていますが、西洋至上主義は西日本至上主義にも通じている気がしてます。