アジア大帝国の歴史書

日露戦争の最中である明治三八年に、
鴨緑江軍の兵站経理部長として
奉天郊外のラマ教寺院に駐屯中の
浜名寛祐(かんゆう)氏が、
一巻の巻物を見せられました。

広部精という博識の軍人が、
ある古陵墓より出土した巻物を
兵禍を避けるために移動した後、
寺院に厳重に保管すべく託され、
浜名はこれを書写して研究し、
十年をかけて解読に成功。

大正一五年に『契丹古伝』として
発表したとされていますが、
この書はアヤシイ部類に入れられ、
それ程メジャーにはなっていません。

この書自体の信憑性や翻訳の間違い等、
様々に検討すべき問題は残されていますが、
売れれば良い的な無責任な拡散をしたり
妄信的に取り扱う事が危ういのと同様、
粗探しをして全否定するのも問題です。

偽書として終わりにすれば良い程度の
歴史的な影響しかないなら良いですが、
この書がアジア情勢に与えた影響は、
歴代研究で考慮に入れる必要のある
大きなファクターなのは確かです。

この書が菅原道真が怨霊として扱われ、
鎌倉幕府成立に至るまでの日本の歴代に
大きく関与した可能性があるのであれば、
この時代の謎を解く鍵となりえます。

壮大な歴史書は政治的なイデオロギーや
コンプレックスや優越感などの心情と
絡められる事が多いのは確かですが、
価値のディベートと事実のディベートは
切り分けて議論しなければいけません。

あくまで研究なので断定は出来ませんが、
この時代の日本が契丹との関係は、
簡単に無い事にされている上に
古歴古伝の研究も昔の焼き直しが多く
殆ど進んでいない状況に見えるので、
新たな流れを出すために執筆します。

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