神道史研究の偏り

日本における神道の研究が乏しい事は、
岡田莊司氏が『神道宗教』 一二六号の
「近世神道史の展望ー高埜利彦著
『近世日本の国家権力と宗教』の
刊行によせてー」の中において、

既に近世神道史の研究分野は、国学などの思想史を除くと、僅かに吉田・白川家による神職組織、支配の局地的研究や神葬祭・離檀運動などに限られ、その研究蓄積は薄い。
しかも、近世の神祇的世界を巨視的に捉えた論究には、これまで殆ど接することができなかった。

と述べられた状況が長く継続した様ですが、
荒俣宏氏が陰陽道の小説を書き認知が広まり
神道系新興宗教の話しが広められた事から、
特定の層に関心が持たれて来てはいたものの
学術的にはどうだったのでしょうか。

垂加神道や復古神道に関する思想史的研究は
基本的な文献がある程度豊富にありますが、
江戸幕府における神道・神社政策の実態、
伝統的な神祇道家である吉田・白川両家の組織や
両家の幕府・各藩との関係の実態等については、
近年に研究が始められた程度でしかありません。

吉田家の全国的な神社・神職支配に大きく寄与した
「諸社禰宜神主法度」の周辺の本格的な研究は、
『神主と神人の社会史』所収の橋本政宣氏による
「寛文五年”諸社禰宜神主等法度”と吉田家」が
最初とされている様な貧困な状況とされます。

これまでこの法度に関説したものは多く、また若干の考察を行ったものは存するものの、実態的検討は不充分であり、この法度の制定意図や交付の経緯、その機能・位置など、具体的な研究は殆どなされていないといっても過言ではなかろう。

と述べられていますがGHQのせいなのか、
それとも別の要因があっての話しなのか、
国学・復古神道のみの研究が認知され
江戸幕府側の神道の研究が貧弱なのは、
偏った認識を生じかねないでしょう。

余りにも研究テーマとしては大き過ぎて、
私も数ヶ月しか取り組んでいないので
概略までしか提示出来ないと思いますが、
それまでの歴史の流れの研究については
何冊も出版している状況にはあります。

私の江戸の神道研究が発端となって、
新たな研究の流れが出ると良いですが、
今までの流れを見ていると体制側から
都合が悪い情報とされる可能性は、
相応に高い事も分かってはいます。

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