ネズミと農業

古代ギリシアの農業論では、
ハツカネズミから畑を守るため、
面白い方法を用いたとされます。

紙を一枚取って次のように書きなさい。
『ここにいるハツカネズミ達よ、
汝らに私はここで厳命する。
私に害を与えてはならない、
また他のハツカネズミ達が
そうすることもまた許されない。
私は汝らに向こうの畑を与えよう。
しかし、もしあなたをここで
再び捕まえる事があれば、
神々の母の名において、
私はあなたを七つに裂だろう。』
こう書いたら、その紙を日の出前に
畑の中の自然のままの石に貼り付け、
害いた所が見えるようにしておきなさい。

アルデンヌ地方のネズミ対策は、

御言葉は汝らの神と共にあった。
雄ネズミ、雌ネズミ達よ、
偉大なる神の名において、
あなた方が私の家、
私の住家の一切から出ていって、
かくかくしかじかの場所に行き、
そこで暮すようお願いします。
意を決して引き返し給え、
穢れなき乙女よ。力強く、
温厚な、正義の者よ。

と日の出に唱えて紙片に書き、
一枚をネズミ達の通る扉の下に、
もう一枚はネズミ達の行く道の上に
巻いて置く事で効果があるとします。

あるアメリカの農夫はネズミ達に、
穀物が不足し冬に養えなくなったので、
もっと穀物のある人に行った方が
幸せだろうと言い聞かせた後、
この手紙をネズミ達が読むように
納屋の柱にピンで止めたそうです。

ネズミを害獣扱いするようになる
近年の発想は普遍的なものでなく、
共存する考えが存在したのは、
日本列島にも見受けられます。

アイヌ神話には神が初めて
ネズミとハツカネズミを
エルム・コタン(鼠の国)で
作った話が存在するそうです。

そこには今でも膨大な数の
ネズミやハツカネズミがおり、
村の人達はハツカネズミを崇拝し、
献酒や削り掛けを供える事に
ハツカネズミが感謝をすると
畑を荒らさず作物も齧らないが、
崇拝しなかったり悪口を言えば、
怒って畑の作物を食べるそうです。

これを根拠のない妄想と
片付ける事は簡単ですが、
意識伝達をして害を避ける
ソフトな手段が有効なら、
殺すより遥かにベターです。

人間ですら意識伝達が出来ない
身勝手なケースが存在するので、
全てのケースで有効なのかは
分からない所がありますが、
話して分かる相手であるなら、
実力行使は必要はないでしょう。

生態系を自分の都合だけで
勝手に変更しているのなら、
全ての作物を独占せずに
少しは返してあげるのも、
アリなのかも知れませんね。

子供の頃は地球を守るために
戦っているかもしれない怪獣を、
話合いもせず排除しようとする
ウルトラマンが微妙でしたが、
地球からみたら一番の害獣が
人間である可能性は高そうです。

近年の環境破壊で毎年百種類の
生物が絶滅していると言われますが、
自然を搾取対象とする身勝手さは、
怪獣が怒っても仕方ないですね。

人間以外は知性の無い物と
決めつけるようになったのは、
アリストテレス辺りからの
差別的な考えに由来する部分が
多いのではとは思っています。

プライドが高く他を見下すのが
知的と言えるかは分かりませんが、
地球を破壊しつつ最高に優れた
特権的な種族のような考えを
見直す事が出来ない時点で、
その程度な感じも受けますね。

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