廃仏の記述

武宗は仏教を外国宗教とし、
父・耕作者・公僕などの
社会的責任を営む善良な民を
社会から奪う反社会的宗教とし、
仏教のために多くの土地が
免税地となると断罪します。

まあここだけ聞かされれば、
仏教に問題がゼロかどうかは
微妙な話になってくるので、
ある程度の整合性はあります。

しかし円仁の残した日記は、
皇帝についてのイメージを
極悪な物としています。

円仁が記録した噂によれば、
会昌の廃仏を行った武宗帝は
時々奇行を見せる性格異常者で、
道教の導師に唆される程度の
頭の弱い人物とされています。

円仁の記述が事実であれば、
極悪の帝王に仏教が壊滅的な
損害を受けた事になりますが、
彼の日記の信憑性については、
議論がなされて来てはいません。

数少ない文献の記述を元に
会昌の廃仏を知ろうとすれば、
解釈を間違える可能性は
十二分にあるでしょう。

この事件は様々な角度から
総合的に検討する事により、
全く違った景色が見えてきます。

そしてその解釈は日本史をも
大幅に書き換える可能性を
含んだ物となっています。

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